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野外演劇公演『星はらい星たべ星あつめ』by.劇団水底譚

イベントレポート

昨年2020年も終わりに差し掛かる頃、「HELLO GARDENで、野外演劇をすることはできますか?」という、演劇を学ぶ大学生からの1本の問い合わせを受けて始まったこの企画。

聞けば、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学内の活動も含め、表現の場を失っているとのこと。この状況の中でも、どうにか自分たちの表現を形にする方法はないかと模索している様子でした。

劇団水底譚の皆さんがHELLO GARDENに初めて訪問してくれたときから、「今回は普段の風景をそのままに、最小限の小道具を使い、生い茂る緑や自然の太陽と月の灯りを活用した演出をイメージしている」と目をキラキラさせて語っていたので、この空間をどのように調理してくれるのだろう…!!というワクワクな気持ちでいっぱいになったことを鮮明に覚えています。

そして迎えた当日、18時半の日没とともに開演。
茂みの奥からゆっくりと登場した【おじさん】が、一気に会場の空気を変えていきます。車の往来や道ゆく人たちの談笑、公園で遊ぶ人々の笑い声など、普段の劇場と違い、観る人の気を引くものが周りに多い環境でありながら、ステージの中心に皆の気持ちをぎゅっと惹きつける【おじさん】による前説はお見事!

本格的に日が暮れ始める頃、物語も本編に突入。
道に迷ってやってきた、なにやら悩んでいる様子の【旅人(顔を持ってしまった迷子)】と【おじさん】のリズミカルな掛け合いが続きます。時折入る【おじさん】のツッコミが場内を沸かせ、会場のボルテージもグッと上がっていきます。

物語が折り返す中盤には、子どもたちも楽しく参加できるリズム遊び(みんなで精霊を呼んだ…!?)や、観客の皆さんとの会話内容をアドリブで劇に盛り込んでいく演出など、演者と観客が一体となれる工夫も盛りだくさん!(劇の中では、観客の皆さんにも【顔を持たない迷子たち】という役名が付いていましたね!)

会場全体が完全に物語の中に引き込まれたところで、物語は終盤へ。
突然【旅人】の前に現れた女の子は、「上」に行くための使命を果たすべく、【顔を持たない迷子たち】から願いを込めた星を集めて欲しいと【旅人】に協力を依頼します。「上」とはどこだろう…「使命」ってなんだ…?と疑問だらけの【旅人】ですが、言われるがままに彼女の手伝いをするうちに、あることに気付き始めます…

「使命」を果たし、無事「上」の世界へと向う彼女を見送った【旅人】は、自分には「使命」が無い事に気付き、【おじさん】に何故かと尋ねます。すると、【おじさん】は「ここは上と現世の間の世界で、君はまだ現世に戻ることができる」と告げ、君はどうしたいのだと問います。そう、「上」とは天国のことで、【旅人】は、まさに今命を失いかけて彷徨っている迷子だったのです。

「君はまだ戻れる」
記憶をたどり、生きる自信を失ってここにやってきたことを思い出した【旅人】に、【おじさん】は言います。自ら命を絶とうとした【旅人】の心に呼びかけ、現世に戻るかどうかの本心に迫るクライマックス。

メルヘンで愉快な要素たっぷりで進んできた物語は、一気にシリアスな展開に。

日が完全に暮れ、夜が訪れた舞台の真ん中に残された【旅人】。【おじさん】の言葉で自分の本心と向き合い始めた【旅人】が、不安ながらに戻る道を選択するところで物語は終了。

観る人の心に感動だけでなく、現代社会への問題提起までも残すような脚本でありながら、子どもから大人までみんなが楽しんで観劇できる構成で、公演終了後も観劇の感想を語りにHELLO GARDENを訪れる方が現れるほど、余韻を引く野外公演でした!

コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、口を覆う衣装をデザインしたり、観客とのやり取りには糸電話使ったり、この状況だから「できない」ではなく、この状況だからこそ「できる」工夫をしようという、エンタメ精神に学ぶことが多くありました。

HELLO GARDENにとっても、野外演劇公演は初めてのチャレンジ。初めに皆で訪れてくれたときの宣言通り、HELLO GARDENのロケーションを最大限に活かした舞台演出で、多くの人の心を揺さぶる公演を開催してくれた劇団水底譚の皆さんに盛大な拍手を送りたいと思います!!

また、観劇に訪れたくださった皆様も、誠にありがとうございました!

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◼️HELLO GARDENでは、会場をレンタルして何かをやってみたい方を随時募集しております。「表現する」もよし!「商売する」もよし!「遊ぶ・集う」もよしです!こんなことできるかな?と気になる方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

Report by.aya
Photo by.mei

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