Issue 01/小林 美和さん(千葉市在住・主婦)
千葉市稲毛区に暮らし、よくHELLO GARDENにも遊びにきてくれる美和さん。私たちが美和さんと出会ってから4年。その間に長男のけいちゃんは幼稚園生から小学生になり、美和さんのお腹がすくすく大きくなる様子を見守った後に産まれてきたみっちゃんは、いつのまに自分の足で野を駆け回るおしゃべりさんに。家族みんなでHELLO GARDENに遊びにきてくれるだけでなく、HELLO MARKETの出店者になるなど、いつしか共に場をつくる仲間になっていました。美和さんは、誰よりもHELLO GARDENで自らの「実験」を楽しんでくれていると思います。普段は他愛もない話をしてばかりなので、改めてお話を聞いてみました。
―美和さんとは、もう出会って4年くらいになりますね。HELLO GARDENの活動を始めてすぐの頃から、ずっと遊びに来ていただいたりして、関係が続いていることがとても嬉しいです。
初めてHELLO GARDENに来たのは、長男のけいたろうを近所の幼稚園に送った後だったかな。なんだろうここは!!って、ずっと気になってたの。空き地に、手書きの看板とLOVEのオブジェが置いてあって、なんなんだろうなーと。その話を知人にしたら、「あそこにはポロちゃんって子がいるよ!」って教えてもらって、じゃあポロちゃん(※1)に会いに行ってみようと思って行ったら、そこにいたのはポロちゃんじゃなくてめいちゃんだった(笑)
はじめた当初から比べると、本当に様変わりしたよね。空き地を整地するために、よく幼稚園児たちと一緒に、手作業で土を掘ってたね。けいちゃんもていちゃんもそういうの好きだから、シャベルもって一緒に参加したけど、途方もない作業だなと思ってたら、ある日ユンボが来て、ワーってやってくれて、あっという間だ・・!みたいな(笑)
イベントも、いろんな事をやってきたよね。いろいろ参加して楽しかったな。「山の食べ方(※2)」とかさ。あのイベント、すごく楽しかったから、また参加したいな。「HELLO TABLE(※3)」も、行けるときはちょくちょく顔を出してたし。私多分、好きなんだと思う。そういうイベントが。珍しいものがあると気になってしょうがないの(笑)
―美和さんは子どもたちと一緒にHELLO GARDENに来てくれるので、私たちも小林家の子どもたちとすっかり仲良しになっちゃいましたけど、美和さんって、いい意味で放任主義ですよね(笑)だから、いろんな人が小林家の子どもたちを見ていて、外から見たら誰が保護者かわからないくらい。
そうそう、すいません(笑)みんなが本当によく見てくれるの。「みんなよろしく!」って任せられる場があるっていいよね。私はほんとに単純だから、「見とくよー!平気だよー!」って言われたら、そのまんま受け取って、「あぁ、ありがとう!」ってなっちゃう(笑)私すごく図々しいの。だからこそ、うまくいかないときもあるけどね。建前で、「いいよー!やっといてあげるよー!」って言われたことも、「ありがとうー!」ってそのまま受け取っちゃうけど、実はその人はそういう意味で言ったんじゃなかったってことも、たまにある。私自身は、基本的に無理な時は言わないし、いい時はいいよって言うから、その辺りが難しい。だから、HELLO GARDENではみんなに甘えられるけど、私も普段は「人に迷惑かけちゃいけない」みたいな風潮に呑まれて、「一応この人は気を遣ってるんだな、ちゃんと」みたいに思われた方が波風立たなくていいかな、なんて考えちゃうときもある。
子どものことは母親がちゃんと見てないといけないっていう、”べき論”をまちで言われることも時々あるの。例えば、自転車を駐輪場から出す間に、ちょっと目を離したタイミングで子どもが道路を横断しちゃったら、 「こういう時はちゃんと母親が手を繋いでないといけないのに」ってそこにいた人に言われちゃって。確かにね、母親は子どもをちゃんと見ていてあげなきゃいけないのは分かってるけど、そんな子どものことずっと見てたら、なんにもできないじゃん、、、って悲しくなっちゃった。手を繋いでたら、自転車出すこともできない。でもそういうことを言われると、「あ〜、そうなのか、、、」って、だんだんそういう考え方になりそうになっちゃう。危ないと思ったら、その人が車を止めに行ってくれて、「危なかったね」って返してくれれば、「ありがとうございます」って言えるのに。「子どもはこの社会を支える財産なんだから、みんなで育てよう」っていう感覚でみんながいてくれたらいいのになって思う。子どもの責任を100%母親に求めるんじゃなくて、みんなで助け合えたらいいな。そうじゃないと、母親はどんどん苦しくなっちゃう。子どものことだけじゃなくて、困ってる人や危ない場面に出会ったら、気付いた人が助ける。それで良い気がする。誰の責任とか、そういう話じゃないんじゃないかな。
でも、やっぱり他の人が善意で見ていてくれる時は、なんとなく気にかけておかないとと思っちゃうから、HELLO MARKETの時みたいに保育士さんがいてくれる状況は、それはそれで本当に安心。私も周りの人もお店番をしてたりするような場面だと、自分もずっとは見ていられないけど、他の人の邪魔してないかなって気にもなっちゃうから、100%お願いできちゃうのは、すごくありがたい。
―長男のけいくんは幼稚園に行ってたけど、次男のていちゃんは自主保育なんですよね。どうして自主保育に?
自主保育は、知人に教えてもらって興味を持ったのがきっかけだった。自主保育ってものを知った時は、すでに長男のけいくんはすでに幼稚園の入園手続きを済ませちゃった後だったから、けいくんは幼稚園に入園したんだけど、興味があったから、けいくんが幼稚園お休みの日とかに遊びに行ってたんだ。
自主保育は、自然の中で子どもがのびのび過ごせるのが特徴なんだけど、それ以外にも、親はほんと干渉しないっていうのも特徴の一つで、それがすごく面白いの。例えば子どもたちが喧嘩しても、ほっとくひたすら。何があっても、子たちにそれをとことんやってもらう感じ。
喧嘩した時に親が止めに入っちゃうと、子どもたちの中では消化不良で終わっちゃうでしょ?それがいずれ大きくなって、その発散しきれなかったものが思春期の時期になって出ちゃうかもしれないんだったら、「やりたい!」って時に、おもいっきりそういう経験させた方が、いいよねっていう考え方なの。だから、とりあえず今やりたいことをやらせてあげようって。喧嘩もそうだし、木登りみたいな危険なこともね。
見てると子どもって本当に面白い。例えば、男の子の喧嘩って、とことん殴り合って、その後けろっと仲良くなる。その一山が必要みたい。喧嘩することでお互いの相手の力量を知って、お互いを尊敬し合うというか。大人が介入するよりも全然スッキリして仲良くなれるから、本当に大人の手は必要ないんだなって分かったの。遊びそうで、大人が「こういうものがあったら、こういう遊びした方がいいよ」とか、提案しちゃいたくなるんだけど、子どもの発送のほうが豊かで、逆に「あ!そういう使い方もあったね!」って気づかせてもらたりもするんだ。そういう発見もすごく面白い。
―なるほど。美和さんが子どもたちに対していつも寛容な感じがするのも、小林家の子どもたちがちゃんと自分の意志があるのも、こういう価値観の子育てを普段からしているからなんですね。美和さんがなにかを「だめ」って言ってるの、みたことないしね(笑)ママさんって、子育てと自分の時間の両立に悩むって聞くけど、美和さんは上手に両立してるように見えるんだけど、実は苦悩があったりするんですか?
苦悩はない!全然何にもないよ!!(笑)今となってはね。一人目のけいちゃんのときは、やっぱり初めての子だし、子どものために頑張らなきゃってところがあったから。一番手をかけて育てたと思う。自分の好きなことをしたいって悩みに至らないくらいまっすぐ、子どものために何かしよう!って感じだったなあ。それがね、友達のふとした誘いをきっかけに考え方が変わったタイミングがあったの。友達が自宅に先生を呼んで講座を開いたことがあって、それに参加したんだ。その先生が、子どもは本当はほっといていいんだよって教えてくれた。その時、子どもに対して親が良かれと思って勝手にやっていたり、自己満足で言っていたりすることって、本当に多いなって気付いて。それから、もっと自分の好きなことをやるようになったかな。
―HELLO MARKETというイベントを始める時、出店者としてすぐに美和さんの顔が思い浮かんで声を掛けたけど、実はまさかいい返事を貰えると思ってなかったんですよ。ダメもとで、どうにか説得しようくらいに思ってたから、すぐに「YES」の回答がきてびっくりしました(笑)「白の手」という屋号でパンと焼き菓子のお店を出店する決断をしたのには、どんな背景があったんですか?
ちょうどタイミングが良かったの!社会に出て、自分が何か提供することでお金をもらうっていうことをやりたいなっ思ってる時期だったの。周りで仕事に出てる人の話とか聞いて、仕事してるの羨ましいなって思ってて。私は専業主婦だから、夫の稼いだお金を自分の好きなことに使うのが、なんだか申し訳ないというか、、、。 自分もちゃんと家事をこなしてるんだから、お金はもらって良いんだって頭ではわかっていても、気持ち的になんか遠慮しちゃって。でも、ちっちゃい子がいるから、パートとかに行ける状況でもなくて。だから、今自分ができることで、しかも自分が好きな範囲のことで、お金が稼げるなんてすごい素晴らしいって思って、やってみようって思ったの。それが私にとっては、パンと焼き菓子だったんだよね。
もともと友達にパンをあげたりはよくしてて、「売ればいいのに」って気軽に言われてたんだけど、売ったら本当に買ってくれるのかな?って不安に思ってた。でも、やっぱり自分ではパンをつくれない人がいて、その人たちはお金を払ってでも買いたいのかなって。パンを買うといってもいろんな味がある中で、私には私にしかつくれない味がある。同じレシピでも、どうしても私にしかつくれない味になっちゃう。その人にしか出せないものがあるんだなって気づけたら、「じゃあ私も売ってもいいのかもしれない」っ思えたの。
もちろんはじめてのことだし、今まで友達にあげるとか、家で食べるとかそれ程度のものしかつくってなかったから、それに値段をつけて売るってなるとっていう不安は実際あったけど、、、ほら、HELLO GARDEN自体が実験の場じゃない?(笑)
HELLO GARDENという場だからこそ、失敗してもいいんだろうから、それだったらとりあえずいろいろ試させてもらおう!って、そのくらいの気持ちではじめちゃった。図々しいからね、私(笑)そういう場だよって言われたら、「あ、そうなんだ!じゃあそれでいいんだね」みたいな感じで。
別に失敗しても困ることはないしと思ってね。でも、やり始めたら思った以上に楽しくなっちゃった!
それぞれ、みんな得意不得意があって、役回りがあると思う。自分が得意な分野で好きな事やるのが一番いいと思うんだよね。それが無理がないし、私は絶対これは苦手って思うことは、他に好きな人がいるから、それは好きな人がやれば良いと思う。こういう考え方にならなかったら、
今の「白の手」としての活動もやらなかっただろうなぁ。
―HELLO MARKETに出店するようになって、なにか美和さんの中で変化はありましたか?
色々あるけど、一番の変化は、なにかしたいって人たちが集まってくるからこそ広がる出会いかな。このまちには結婚して子どもができてから引っ越してきたので、今まではやっぱり子どもを介した繋がりが多かったけど、HELLO MARKETに出店するようになったら、私個人が直接つながる人が増えた。それはすごい楽しい。本当に貴重な繋がりだなって思ってるの。