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ALL YOURS的服づくりとお金の仕組み

イベントレポート

 一度着たら虜になる人続出!な「着たくないのに毎日着てしまう」超絶快適でしかもイケてる(!)普段着をつくっているALL YOURS。「あたりまえを、あたりまえにしないモノづくり」を理念に掲げ、「新しい普通」となる洋服を開発し続ける。そんなチームを率いる代表の木村さんに「オールユアーズ的服づくりとお金の仕組み」をテーマにお話をしていただきました。
 
 ※以下、語り手は木村さん。

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「オールユアーズ的服づくりとお金の仕組み」

○服づくりで大切にしていること
見ての通り、僕たちは洋服を作っている会社です。ただ、洋服と一言に言っても、オシャレなものは世の中にたくさんあります。雑誌やSNSなどを見ていいなと思ったものがあれば、それと同じようなものを探したり、それに近いスタイルを求めて洋服を選んでいるという人が多いと思います。そんな中、僕たちの服づくりはそれとは逆の思考で、「オシャレじゃないもの」をつくり始めました。僕たちは「着ていることを忘れてしまう服」を目指しているのです。
僕らは、「何を着ているか」ということよりも、それを着る人が「どんなことをしているか」のほうが素敵な人の条件だと思っています。めちゃくちゃ洋服の着こなしが上手な人よりも、やっていることがめちゃくちゃかっこいい人。そういう人を応援したいと思ったのです。だから、僕たちの服を着ているときは、服を着ていることすら忘れてやりたいことに集中してほしい。「なんでかわからないけど、朝起きて、気づいたら着ちゃってた(笑)」みたいな、服をつくりたい。なので、外装のデザインをどうするかとか、お客さん自身に「こんなふうに着てください」みたいなことは、ほとんど言っていないんです。
例えば、白いTシャツ。一見ただの、何も描いていない綿の白いTシャツですが、体の汗の匂いを取ってくれて、尚且つ洗濯機で洗濯すると一緒に洗ったものたちの匂いも取ってくれる。さらには洗濯槽の嫌な匂いまでも取ってくれちゃうので、部屋干しした時の嫌な匂いも感じなくなるんです。パーカーは、見た目は本当に普通のパーカーだけど、完全撥水仕様になっていてお茶をこぼしても吸わない。水を弾くので汚れも付きにくい。生活の中で、一瞬でも「あ~また今日も部屋干し臭いな・・」とか「あ~汚しちゃったな、洗濯で落ちるかな」とか、余計なことを考える時間がいらなくなる。そんな風に、うちの洋服は着ていると「いいことがある」のです。

▲デザインや色は、ユニセックスでシンプルなものがほとんど。 
▲文字では説明しきれない「見た目は普通の白Tシャツ」について説明する木村さん

 ○ALL YOURSが一躍有名になった仕掛けとは!?
僕たちは、インターネット上でこの商売を始めました。商売をやるとなった場合、まず「どうやって知ってもらうか」というのが初めの悩みですよね。どうやって知ってもらうも何も、誰にも名前も知られていないので、そもそも検索されようもない。そこで、2015年12月にはじめたのが、『クラウドファンディング』というものです。
一番最初にクラウドファンディングで支援者を募ってつくったのが、先ほど紹介した「水を弾くパーカー」でした。このときは、約370人の方に支援していただいたのですが、彼らが他の人にも勧めてくれたことで徐々に広がっていきました。
僕らの仕事をシンプルに言ってしまえば、「製品をつくって販売する」ということです。それをどうやってお客さんに届けたらいいのかなと思ったとき、こうやって「お客さんと一緒につくる」ということを思いついたのです。クラウドファンディングを使って、新しい商品のリリースを続けるというスタイルを。その後、「僕たちはあなたを自由にする『新しい普通の服』を24ヶ月連続で提案します」というメッセージとともに、連続でクラウドファンディング企画を打つことにチャレンジし、結果として計4000人弱の方にご支援をいただいて、5800万円弱をご支援いただきました。
https://camp-fire.jp/channels/all_yours

▲24ヶ月連続クラウドファンディングで実際に集まった金額がこちら。

○ALLOURSの服づくりを伝えて回る全国行脚
クラウドファンディングで生まれた代表的な商品の一つに、着たくないのに毎日着てしまうジャケットとパンツのセットアップ「FAST PASS」というものがあります。この商品のクラウドファンディングを初めてやったときは、718名にご支援いただいて、1800万円。好評だったので次の年にも企画して、そのときは421人で1300万円。これはクラウドファンディングの関係者に聞くと、「すごいね!」とよく言われるんですけど、何がすごいって、47都道府県全部に必ず1人は支援してくれている人がいるということ。元々は、この企画の中でしかつくらない限定商品の予定でしたが、多くのお問い合わせをいただいて、今では一般販売にも至っています。
ALLYOURSの商品は、決して安くない。実際に着てみてもらうと、値段相応か、もしくはその値段だったら安いんじゃないかな?と思っていただけるのだけど、やっぱりインターネットだけでは限界がある。インターネットで気軽に買える人は多くない価格なのも事実。お客さんからも、「実物が見たい」「サイズを確認したい」という声も多かった。それなら、全国を回って、自分たちはどう考えて服づくりをしているかを伝えつつ、試着会もしちゃおう!ということで全国行脚をはじめました。
僕たちは試着会に、服の在庫を持っていきません。実際に着てみて気に入っていただけたら、後日オンラインで購入・決済という流れになっています。
洋服を買いに行くのが面倒臭い人や苦手な人は、店員さんの話し方が苦手とか、ちょっと仲良くなったら買わなきゃいけない雰囲気になってプレッシャーを感じてしまうという人が多いと思います。だから、僕らの試着会では潔く買えない状態にしよう!ということになりました。店員も、押し売りとかではなく在庫があるとどうしても「せっかくだから!」という気持ちになりがちなんで(笑)だから、お互いそういう感情を持たずに、ストレスなく気軽に見ることができて、「とりあえずなんでも試着してみよう!」
というのが、うちの試着会です。
https://camp-fire.jp/projects/view/34653?list=channel_all_yours

▲実際にFAST PASSを試着した建築関係のお仕事をされている男性。 
着心地よく、仕事に没頭できそう!と満面の笑み。

○お客さんの解像度を100%に
自分がつくったものを販売する方法は色々あります。自分でお店を借りる、オンラインストアをやる、まずはマーケットに何回も出店してみて実力をつけてから考える。どの方法にしても、うまく売れないと思ってる人の話を聞くと、ほぼ大半の人が「誰に買ってほしいか」が明確じゃないんです。安くないと売れないと思っている人もいるようですが、問題はそこじゃない。すごく極端なことを言うと、東京都港区の麻布や六本木に住む人たちに買って欲しいと思ったら、ほぼ材料費の原価で売っても多分買ってくれないと思います。逆に、世の中で2万円ぐらいで売ってるものを3,000円くらいにして売るとおそらくたくさん売れるけど、お客さんになってくれるのは、本当は2万円の価値があるものなのに3,000円でしか買わない人だけです。
僕がすごく大事に思っているのは、自分が作りたいものを「誰に売りたいのか」「誰に使って(買って)欲しいのか」を一番最初に明確にしようということ。これは「だいたい30代の女性」とかいう大まかなことではなくて、自分の身の回りならこの人!と具体的に描けるくらいに解像度を100%まで上げることだと思っています。自分のお友達の中から選ぶとしたら、誰にお客さんになってもらいたいのか、誰に支持してもらいたいのか。そうやって具体的に考えていく。みんな、これまで生きてきた中でもいろんなタイプの友達がいると思います。今実際に交流がある人じゃなくてもいいので、自分の個性をわかってくれている友達の中で、人具体的なキャラクターを決めましょう。そしてまずは、この一人の人に喜んでもらうにはどうしたらいいのだろうと考える。これがサービスだと僕は思うんです。
実際に自分の身近にいる人を設定するのは、必要であれば直接聞きに行けるのがいいところです。「あなたみたいな人が私のお客さんとして理想像なので聞かせて欲しいのだけど、これいくらなら買う?欲しいと思う?」と気軽に聞ける。「ん~ちょっと好みじゃないかも」となれば、狙っている人とつくっている物にズレがあるということになる。そういうラフな会話なら相手も営業に感じないので、その人自身も嫌な思いはしないと思います。同じような世界観が好きな人なので、話の派生で、「このブランド(作家さん)にこんなのあるよ」と情報を教えてもらえたりすることもあります。そうすると、自分の作品と比べてどうだろう?と研究できたり、他のブランドのものが良すぎたらそもそも勝てないので、また違うもの(フィールド)に行くというのも一つの手です(笑)顧客像を明確にすることで、その人が何を好んで、他に何を見て何を選んでいるのか、横のつながりでどんどん分かってきます。
ただ、まず小さく商いを始める時って、自分が好きなものをつくっているはずなので、顧客像と自分もすごく近いはず。第三者の意見を聞くために、身の回りで顧客像みたいな人を見つけるもの大事だけど、元々は自分が好きで、自分が属している文化の中で始めていることなので、基本は自分が思っていること・言っていることは正しいと信じることも大事。自分の直感を信じながら、「支持してくれる人・喜んでくれる人=仲間」と一緒につくっていくことが重要だと思います。
昔は、何か商売をやるとなると、「立地が命」という時代でした。立地が良いどうかが全てで、いろいろな人が通って見てくれるからお客さんが増える。はっきりしたお客さん像がなくても、たくさん人がいるところに行けば商売が成り立つというのが一昔前の考え方なのです。しかし、インターネットが発達した今、お客さんは大体みんな調べてからお店にきます。通りがかりの人がフラッと立ち寄ってお客さんになるというのは少なくて、先に調べた上で、そこに行くことを目的に訪ねてくる人がほとんど。調べたことをもとに、実物を実際に体感しにくるんです。現地調査みたいな感じですね(笑)来る前にほとんどの情報をお客さんは知っている。具体的な人物像をイメージして、その人に買ってもらう・来てもらうためにと解像度を上げて考えたお店なら、別に立地がどこであろうとお客さんは来てくれるのが今の時代なのです。

○まずは身近な友達から
商売を始めるとみんな、広くいろんな人に知って欲しいと考えるわけですが、広告を打たない限り、自分で伝えられる手段や範囲は意外と限られています。手法としては、直接会って伝える、電話する、手紙を書く、あとは自分のSNSでの発信ぐらい。やり方は違えど、この手法たちに本質的な部分で共通しているのは「結局自分の知ってる人にしか伝えられない」ということ。SNSやwebサイトは不特定多数の人が見てると思いがちだけど、結局最初は自分の友達しか見ていない。その地道な作業をすっ飛ばそうと思ったら、広告を出すしかない。でも、広告にいくら払えますか?広告で効果を出そうと思うと、現実的じゃない額になってくる。だからいきなり広くいろんな人に知ってもらうことを考えず、まずは自分が知っている身近な人を大切にする。実はそれが一番効力がある宣伝だと思います。広告で見たものよりも、身近な友達が「これいいんだよね!」って言っているものの方がなんだか良さそうに感じる体験は多くのひとが経験あると思います。まず、これがめちゃくちゃ大事。だから、どうやったら身の回りの人が「これいい!」って言ってくれるかどうかを一生懸命考える方が、ゼロ円で広告できて効果が見込めるんです。とにかくこれを大事にしましょう。
知ってる人にしか伝えられないとして、その人たちは自分のやっていることを100%知っているのか。例えば、SNS上に100人友達がいるとして、そのうち30人はSNSアカウントを持ってはいるけど、開いても見てもいないと言う人たちだとします。残りの70人は、毎日、もしくはたまには開いて見ている。まず、その70人がどれだけちゃんと知ってくれているのかどうか。この一番身近な人に知ってもらうことが1段階目の輪。彼らに向けて、例えばSNSで「こんな活動始めました」「今度このイベントに出ます」「オンラインストアできました」と発信したとする。その情報を見たうちの10人が「いいね」とか「シェア」とか何かしらのアクションを起こして、またそのうちの3人が購買に繋がったとします。すると、その3人は「今日自分の友達がつくっているこんないいものをGETしました」「自分の友人が今こんなこと頑張っていて、応援しているんです」とか、発信してくれる。これは、友達の友達、つまり、自分が自力では話しかけられない相手に広まるということです。これが2段階目の輪。信頼関係のない間柄では、自分が話すと押し売りに感じられてしまいがちな営業も、間に友達一人挟まるだけで信憑性や信頼度が高まる。そうやって、友達の友達がいいね!って言って買ってくれるようになると3段目の輪になり、もう自分の知らない人にまで広がっている。
この3つの輪が、クラウドファンディングを通じてとても大事だと思いました。この関係性をつくること自体が、小さな商売をやっていく上ですごく幸せなことじゃないかなと感じています。この輪の関係づくりをすっ飛ばそうと思うと、ちょっと強引な売り方になってしまうというか、誰かが残念な思いをする可能性も出てくる。小さく始めるなら、この法則を忠実に守るだけで段々とファンが増えていくはずです。実際僕も、ALL YOURSを始めようと思ったとき、30人ぐらいの友人たちに「独立してこんなことやろうと思って」と、お願いして回りました。それで、いざクラウドファンディングを始めてみたら、その人たちのほとんどが初日に支援してくれたんです。自分では全然意識してなかったけど、この最初の30人の方々が、自分の知らないところでいろんな人に「これめっちゃ応援してるからさ!」と、口頭やSNSで勧めてくれていました。そのおかげで、自分が伝えたわけじゃない人からも支援されるようになりました。

▲今回の試着会で初公開になったという”着る毛布”MOFUを是非試着したい!と、
わざわざ遠くから尋ねてきてくれたお客さん。
心を掴んでいたら立地じゃない。

○「共犯者」をつくれ!
ALL YOURSというブランドは、お客さんのブランドだと僕たちは考えています。だからめちゃくちゃかっこよくして、気取ったりしない。例えば、白人モデルを使って海辺で黄昏てる写真とかを使ったりは絶対にしない。お客さんというリアルで等身大の人たちがキャラクターとして出てきて、この製品面白いだの、この間のイベント面白かっただの、つまんなかっただのってワイワイSNSの中で盛り上がってる状態というのが、ALL YOURSというブランドであると考えています。ちょっと乱暴な言い方かもしれないけれど、お客さんが広告。世の中の言い方とちょっと定義が違うかもしれないけれど、僕たちにとっては、フォロワーが10人や20人の人でも、「いい!」って言ってくれる人はみんなインフルエンサーなんです。そういう人たちにいいネタを提供できるか、それがすごく大事。彼らはただの「お客さん」じゃなくて、もう一緒にブランドをつくっている「共犯者」だと思っています。「お客さん」って線を引いてしまうのではなく、仲間になってもらうのです。
クラウドファンディングはよく「不特定多数の方からインターネットを使って資金を集める方法」と言われるのですが、ただ資金を集めたかったら、日本ではまず最初に銀行に相談行った方がいい(笑)クラウドファンディングをなぜ使うのか。それは「最初のお客さんを掴むため」なんです。最初に共感してくれる人を増やすため。ここを目的としなくて資金をつくりたいだけなら、本当に銀行に行くか、親に相談した方がいいですよ。銀行で借りると借金が増える。それをクラウドファンディングで埋めていくと、借金が減る。それは確かに事実ですが、あんまり重要じゃないんです。例えばカフェを始めようとしたとき、銀行で融資を受けて、内装工事して、オープンしたとします。その時点で、そこがカフェになったということを知っている人は自分と銀行の担当者と毎日覗きに来ていた近所のおじいちゃんくらい。でも、クラウドファンディングをやって、仮に100人支援してくれた人がいたら、そこにカフェができることを100人は知っていて、オープンする前から100人のお客さんがついている状態になる。たとえ100万円目標で10万円しか集まらなかったとしてもいいんです。その100人が開店日にどうやって来てくれるかを考えて、初日に100人来るような店がもしもできたら、新聞でも取り上げられますよ。もしかしたら、ローカルのテレビでも取り上げられるかもしれない。そうすると、その評判でまた別の人が来てくれます。クラウドファンディングは最初のお客さんをつくるツールとしてはめちゃくちゃいいんです。お金だけじゃなくて「共犯者をつくる」と考えたら、クラウドファンディングはきっといいプラットフォーム。はっきり言って、クラウドファンディングは手数料20%ぐらいとられるので100万円調達できても80万円くらいしか手元に残らない。ただし、それを高いと思うか、最初の広告宣伝費だと思うか、考え方次第なのです。僕たちがクラウドファンディングに挑戦する時、金額ばかりが注目されるんですけど、僕らは支援者の数をめちゃくちゃ意識しています。何人の人に支持してもらえるか、それがすごく大事です。
ただ、クラウドファンディングやるにもSNSなどで宣伝するしかないので、結局何をするにも、自分が「これをやっている」ということを自分の周りの人に誠心誠意伝えるということに尽きる。それを知っている人が何人いるかっていうことが、全てなのです。

Q1.SNSなどで発信するとき、気をつけていることはありますか?
A1.「買ってください」「これいいですよ」「これが売り出し中です」という話は、自分でいうとなんかわざとらしい。そういう話よりも、お客さんが「あ、今度お店行ってみよ!」って思うような内容の投稿の方が大事だったりするんです。一見意味がない投稿がよかったりします。例えば、「実家からみかんが届いたので、お店に来た方一緒にみかん食べましょう」と投稿する。商品の説明はなにもしていないけれど、ちょっとお店に行きたくなりますよね。それでお店にきてくれた方が、結果実際に商品を見てもらえる、買ってもらえる、ということもあるのです。 

Q2.発信するときのテンションってどうしてますか?ついつい堅苦しい投稿になってしまって、、、。
A2.「お客さんとどういう付き合い方したか」という前提が大事で、これは「ブランディング」という言い方とほぼイコールだと思っています。ALL YOURSのブランド人格は「相手を主役にできるお友達」というキャラクター設定にしています。友達なので相手を主役にするけど謙らない。友達って、「いやいやさすがですね!」とは絶対言わないですよね(笑)だからお客さんにも「いいじゃん!」って言う。自分がお客さんとどういう付き合いをしたいか、そして、どういうコミュニケーションが自分がいちばん気持ちいいか、だと思うんです。例えば、エルメスみたいなブランドだったらそういう付き合い方ではなくなりますよね。そういうブランドのお客さんは、特別感を感じたい、長くしっかり使える確かなものを確かな人と選びたい、っていう期待を持ってくるから、言葉遣いは結構大事ですよね。僕ら売ってるのは「普段着」なので、気軽な関係性がいいんじゃないかなと思ってやっています。「ALL YOURSさん」という人がいたら、どんな人かな、どんなことするかなっていう妄想をチームみんなでよく話します。「いや、そういうことしないっしょ」とか、「人を喜ばせるのが好きだから、なんかびっくりすることしたくなるよね!」みたいな感じで。そうやってだんだんキャンペーンとかも決まっていきます。自分のやってるお店やブランドが、どういう人なのかなってことを考えてみるのはすごく良いと思います。要は誰に売りたいのかで決まっていきますよね。

 Q3.インターネットと実店舗、それぞれをどう使い分けていますか? 
自分の商品について、インターネットサービスでできることとできないことをちゃんと考える必要があります。ALL YOURSのケースでいうと、情報を知るならインターネットが優れてるんです。水を弾くといった性能のように文章・音声・動画で表現できることは、インターネットが強い。でもリアルじゃないと絶対できないこともある。触ってみる・着てみるということは、お店でしかできません。この機能をちゃんと明確にして、インターネット上にはどういう情報を、お店にはどういう情報を置けばいいのかを考えることが大事です。インターネットには商品情報は結構詳細に書いて、お店など実際に商品を手にとってもらえる場では、極力文字情報を出さないようにしています。商品に触れてもらう方が、文字読むより断然わかるから。リアルの現場は試着してもらうことに集中して、試着しやすい空気をどうやってつくるかを一生懸命考えます。でもこれは、インターネットとリアルの店舗を分けて考えてないから、こういう発想になったんです。両方あって、一体化した体験なのです。

 Q4.大人向けの書道教室をやっているのですが、本当に来てほしいお客さんと、実際に教室に着てくれるお客さんにズレがあります。文字を書くのが苦手な人に習ってほしいのに、そういう人は「いや私下手なので、、、。」と敬遠されてしまい、子供の頃からずっとやってきた人が来てしまうんです。どうしたらいいでしょうか? 
A4.書道教室って、極端にいうと「なくても死なない」ものですよね。そういうものって、「あったら豊かな部分」をちゃんと伝えることがすごく大事だと思います。書道=字が上手くなるって知らない人、多いのではないでしょうか。それが自分にとってどう実用的なのか、それを習った先にある自分のゴールがちょっと見えると、興味をもってもらえると思います。自分が設定した顧客像になにをどう伝えるか、彼らはなにに共感するのか、そこを考えて丁寧に発信してみるといいと思います。 

自分の商品やサービスを多くの人に選んでもらうために色々なチャレンジをしてきたALL YOURS。
その成功の秘訣は、どれだけ自分の商品やブランドのことを自分で分析できているか、共感してくれる仲間を増やすための小さな努力を積み重ねられるか、そしてもちろん商品やサービスが魅力的で価値のあるものか。それがあってはじめて、クラウドファンディングという「手段」が有効に使えるのではないでしょうか。ALL YOURSのクラウドファンディンが大成功したのは、ALL YOURSの商品がとても魅力的だったことと、それを知ってほしいという木村さんたちの熱意があってこそだったのではないかと、実際にお話を聞いて、商品も手にとった参加者の方々は感じたのではと思います。ぜひみなさんも、自分の商いやプロジェクトを今一度振り返り、木村さんからいただいたヒントの中から今すぐにやってみれそうなことをチャレンジしてみてください!

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●ALLYOURS 木村昌史さん
1982 年群馬県生まれ。「インターネット時代のワークウェア」という着ていることを意識させない服づくりを行う。CAMPFIREにて24ヶ月連続クラウドファンディングを成功させ、5700万円以上の資金調達を達成。
note:https://note.mu/hirihiri/n/ncae0ddf987f0?creator_urlname=hirihiri
twitter:https://twitter.com/kimuramasashi82
Instagram:https://www.instagram.com/allyours_jp/

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