HELLO LETTER トップへ HELLO LETTER トップへ カテゴリ一覧へ カテゴリ一覧へ
HELLO LETTER トップへ HELLO LETTER カテゴリ一覧へ

vol.6 ごはんの炊き方を学ぶ

イベントレポート

2019年10月「ケの日ラボ」 新米の季節がやって来る季節!ご飯好きの、ご飯好きによる、ご飯好きのための、炊飯系フードユニット「ごはん同盟」さんを講師にお招きし、おいしいご飯の炊き方について教えて頂きました!ごはん同盟さんからのレクチャーを実際に受けたスタッフKが、当日のレポートをお届けします。
ちょっと面倒かもしれないけれど、ご飯は毎日食べるものだから、1度身につけてしまえば一生使える技術ですよね。昔母から教わったままのやり方で、これまでずっとご飯を炊いてきた私も、一緒に参加されていた皆さんも目から鱗の2時間でした。これを読めば明日からのあなたの「ごはんライフ」が変わりますよ!ぜひご覧ください。

\ご飯は鍋派?炊飯器派?/
突然ですが、みなさんの家ではご飯を何で炊いていますか?炊飯器、土鍋、米専用鍋、羽釜(一般家庭ではなかなか珍しいと思いますが・・)などなど様々な方法がありますよね!参加者の中には「ガス釜です!」なんて方も!「やっぱり米は土鍋でしょ!」なんて声も多く聞きますが、ごはん同盟さん曰く、実際は「どれを使ってもおいしく炊ける」とのこと。ただ、それぞれに特性・違いがあるということなので、あまりこだわりすぎずに、その違いを楽しみながら自分の生活スタイルや好きな炊き具合に合わせて使い分けられるのがベストかもしれませんね。今回のレクチャーでは、「一般的な家庭用炊飯器」とちょっと家庭では珍しい「アルミ製の羽釜(カセットコンロ・通常のガスコンロで炊けるもの)」を使って、同じお米(新潟県産・新米・コシヒカリ)の炊き比べを行ってみました。

\でもやっぱり高級なブランド米がいいんでしょ?/
今回正しいご飯の炊き方を教わるにあたり、まず知っておきたかったのが「普通のお米でもいいんですか?」ということ。どんなに技術を磨いても、いわゆる「高級米」じゃないと意味がない!なんてことになったらどうしよう・・。お米は消費も早いし、やっぱりスーパーで手頃なお米を買うのが基本の日常!高級なブランド米じゃなくても、ふっくらおいしく炊けるのか!?お米選びはどうすればよいの?という素直な疑問と、お米を選ぶときのポイントを聞いてみました。


Q.おいしいお米を炊くにはやっぱりブランド米と呼ばれるものを買わないとダメですか?

A.自分が暮らす土地の米をその土地で消費するのが案外一番口に合っていたりするので、どこ産のものがおいしい!とか、案外そういうことではないんですよ。誰かがおいしいと評価したかどうかよりも、自分が食べ慣れている味かどうか、おいしいと感じるかどうかを大事にしてお米選びをすれば良いのです。自分の好み(甘さ・硬さ等)で、自分なりの日本一を決めるのがいいと思います。おいしいお米を選ぶというのも大事な要素ではあるけれど、それよりもお米の保存方法・研ぎ方・吸水・炊く・炊いたお米をどう保存するかの方が大事!この一連の流れが完璧にできると、とてもおいしいご飯が炊けます。お米がよくても炊き方・研ぎ方がダメだと、せっかくのものが台無しになる場合もあるし、普通のお米でも研ぎ方・炊き方が上手だとものすごくおいしく炊ける場合もある。いい品種のお米を買っても、保存の仕方がよくなくて劣化させてしまった・・というのもよくあるパターンです。


Q.ではお米を買うときに気をつけた方が良いことはありますか?

A.スーパーなどでお米を買うときには、精米年月日をよく見て買うこと!精米年月日の表記の基準がJAS(日本農林規格等に関する法律)で決まっているため、必ずチェックしましょう。精米した日からどんどん味が落ちてしまうので、精米日が新しいもの(購入する日に近いもの)を買うものがよいです。10月頃は、新米と古米が混在しているときなので、収穫年度まで確認をするようにしましょう!お米は乾物だと思われがちですが、生鮮食品であり、生ものなんです。精米日から2週間から1ヶ月くらいのものを選ぶのがベストですね。でも、これはあくまでも理想論。古米が残ることだってあるし、新米が売ってない季節だってある。大切なのは「いかにおいしいお米を選ぶか、ではなく、今あるお米をどう美味しく食べるか」ということです。


Q.いつからいつまでのものを「新米」と言うのですか?

A.「新米」と言って販売して良い期間は、法律上で決まっています。年内中にとれたものは新米。新米と呼んでよいのは、収穫年の12月31日まで。店頭で新米のシールが貼ってる場合は、年が明けると剥がされます。新米が買える期間は、それほど長くはないのです。


\とにかく「お米ファースト」/
なるほど!どんなお米でも「保存と炊き方のポイント」さえ抑えればおいしく食べられる!ということですね。ちょっと安心したところで、さっそくその方法を学んでいきましょう。前述の説明でもあったように、おいしくご飯を炊くには「保存・研ぎ方・吸水・炊き方、そして炊飯後の保存」この5つの工程でポイントを抑える必要がありそうです。まずは買って来たばかりのお米の保存方法から。みなさんの家ではどんな風にお米を保存しているでしょうか。米びつ、袋のまま、瓶・・・などなど様々だと思いますが、ここからは、お米にとって一番最適な保存方法を教わっていきます。

Q.お米はキッチンの日の当たらないところに置いて居ますが大丈夫ですか?

A.炊飯する前のお米が嫌いな要素は「酸素・高温・湿気」の3つです。この3つが揃うことで、どんどんお米の味わいが落ちていきます。あまり知られていませんが、スーパーで買ったときにお米が入っているビニール袋は、実は空気を通す素材で、そのままキッチンなど湿度の高い場所に置いておくと、お米が湿気を吸ってしまいます。買ってきたら、なるべく早くお米が嫌う3つの要素から遠ざけるように保存環境を整えてあげる、「お米ファースト」の精神をもってお米と接していきましょう!
まずお米が嫌いな一つ目の要素「酸素」は、密閉できる容器に移すことでやっつけます。ジップロックなど、なるべく空気に触れない状態で保管できるものに移します。この時、よく炊飯する単位ごとに分けておけると、袋を開け閉めする機会が減るのでベスト!次に「高温」撃退!お米は生鮮食品なので、冷蔵庫の11-12度くらいの低温のところ(野菜室など)に保存できると良いでしょう。すぐに食べるのなら常温でも良いですが、冷蔵庫などに入れておくことによって、3つ目の敵「湿度」からも守ることができるのでオススメしています。冷蔵庫に入らない場合も、食洗機の横やシンクの下はキッチンの中でも湿度の高い場所なので避けた方がよいでしょう。米びつを使うのも悪くないです。精米済の米は匂いも吸いやすく、吸った匂いは落ちにくいので注意が必要です。


Q.前に買ったお米を使い切る前に次のものを買い足した時、混ぜて食べても良いですか?

A.中途半端に残ったお米は、新しく買ったものとブレンドにしてもよいですよ。混ぜて食べても大きく味が変わるわけではないです。お米はなるべく買ってきてから1ヶ月以内に消費した方がよいですね。早ければ早い方がよい!1ヶ月ぐらい過ぎてしまうと白い粉がふいてくるので、その場合は研ぐ回数を増やしてあげましょう。味が落ちたかな?と感じたら、お米の状態を見て、それに合わせた研ぎ方・炊き方をしてあげればよいのです。そうすれば、古米特有の粉っぽい香りも無くなって、仕上がりが全然違ってくる。お米のせいにしない。いつだって「お米ファースト」です!忘れないでね!


\お米は研ぐの?洗うの?/
まずは、おいしいお米を炊くための第一ステップ「保存」の極意を学びました。「ぎゃっ!それやっちゃってる!」なんて声もちらほら。これからは「お米は生鮮食品」と記憶すれば、自ずとどう扱えば良いのか体が動くようになる気がしますね。次は第二ステップの「米研ぎ」。お米の研ぎ方って、諸説ありますよね・・。そして意外と時代とともに変わっていたりして。昔母に教わった、網カゴの中でガシガシこするような研ぎ方は、最近テレビや雑誌で「絶対ダメ」なんて言われていたり・・(笑)私は一体何を信じたらいいの!状態でした。では早速、正しいお米の研ぎ方を学び直していきましょう。


Q.米研ぎが大事とはよく聞きますが、何に気をつければ良いのでしょうか?

A.どんな道具で炊くかよりも大事なのが、どう研ぐか。どんなに良い炊飯器でも、羽釜や土鍋でも研ぎ方次第で仕上がりが大きく変わってきます。逆に言えば、研ぎ方をマスターすれば普通の一般的な炊飯器で充分おいしいご飯を炊くことができます。お米を研ぐ時に大事なのは「水温とスピード」。これを忘れないようにしてください。米とぎの目的は、糊粉層(精米した米の表面に薄く残るぬか層)を取り除くこと。糊粉層は時間とともに劣化しやすいため、これをきちんと落としてあげないと炊き上がりのご飯の味に差が出てくるのです。それでは、「ごはん同盟流米研ぎ」を手順を追って説明していきます。


【用意するもの】
・必要な量の米(1合=150g)
・ざる
・ボウル
・お水(浄水か軟水のミネラルウォーターがあればベスト)


▽道具に関する注意点▽
かなり多くの方が、ボウルの代わりに炊飯器の内釜を使って米を研いでいると聞きますが、炊飯器がダメになってしまうのでオススメできません。米とぎに使うことで、知らず知らずのうちに内釜に傷がつき、本当は長く使えるのに本来の寿命よりも早く劣化していってしまいます。また、内釜で研いでしまうと汚れた水が残ってしまい、どうしても流しきれません。ボウルとザルを使えば、割れ米もザルの下に落ちるし、余分な水分も落とすことができるので、ザル・ボウルコンビを使うのが肝です。


▽水の温度に関する注意点▽
お米を研ぐ時は、できるだけ冷たい水で研ぐことが鉄則です。寒い冬でも手がかじかんで辛くてもお湯やぬるま湯は厳禁!なぜなら熱が加わると、米が「炊飯が始まった!」と勘違いして、でんぷんが変化し始めるため。冷たい温度で、でんぷんの変化を防ぐことが大切!冷たくてしんどかったら米とぎ棒や薄手の手袋を使用してもOK。ぬるま湯で洗ったりすることだけは避けましょう!(ぬるま湯の温度判断:30度以上。お湯の一歩手前。温度を感じたらアウト。)お米研ぎ専用の水を冷蔵庫に保管しておくのがおすすめです。


【米とぎの手順】
1:お米の表面の汚れを落とす
まずは、米の表面の汚れをとります。先にボウルに冷たい水を張っておき(最初の水だけ浄水か、軟水のミネラルウォーターを使うと良いです。)、そこに一気に米を入れて軽くひと回ししたら、すぐに水を捨てます。乾燥した米はすぐに水を吸収してしまうため、汚れた水に触れないようにします。研ぎはじめは電話があろうと来客があろうと放置せず、とにかく米ファースト!!洗ったらすぐ水を切りましょう。

2:研ぐ(1回目)
水を切った状態で、米同士を擦り合わせてシャカシャカと音を立てるように研ぎます。指はボールを握る感じで軽く開く感じが良いです。あまり力を入れずに、10-20回ぐらいかき回します。すると、ボウルに残った水が真っ白いミルクぐらいの色に変わっていきます。ここで大事なのは米粒に残った糊粉層を剥がす事なので、米同士をこすり合わせて摩擦を起こすことがポイントです。水を張ってしまうと米同士がぶつからず摩擦が起きないので、水は必ず捨ててから研いでください。

3:すすぐ(1回目)
水を注いで濁った水を流します。水を切る時は下にザルを置いておくと米粒がこぼれる心配もありません。研いだ水をよく観察してみると、粉状の粒子が浮かんでいるが見えると思います。それが、剥がれた糊粉層です。


4:研ぐ(2回目)
1回目と同じようにもう一度、水を切った状態でお米をシャカシャカとかき回して研ぎます。繰り返しになりますが、指は「ソフトボールを握る感じに軽く開く」です!決して、手のひらで押すように研いだりしないようにしましょう。お米が割れて、中のでんぷんが流れ出してしまいます。ねっとり炊き上がる原因になるので注意!米を傷つけないことを心がけて!


5:すすぐ(2回目)
もう一度水を注いで、濁った水を捨てます。米がうっすらと透けるぐらい濁っていても大丈夫です。透明になるまですすぐとすすぎ過ぎです。匂いや汚れが気になる場合だけ、もう一度研ぐ→すすぐを繰り返しましょう。(糊粉層の劣化が始まっている、表面が白っぽくなった古米などは、このタイミングでもう一回研いだほうがよいです。)


6:すすぐ(3回目)
最後にもう一回水を注いで、濁った水を捨てたら、米をザルにあげて水を切ります。水切りには必ずザルを使いましょう。ボウルに手を添えて水を切るだけでは水切りが不十分です。米の表面に残っている、汚れた余分な水が落ちてくるので、そこまで切って初めて水切り完了です。かといって、ザルにあげたまま放置しすぎると米が乾燥し始めるので、20-30秒を目安に、てばやく炊飯器に移すようにしましょう。
最近の炊飯器は、吸水機能もシステムに組み込まれているので、洗い終わったらすぐに内釜に移し、規定の量の水を入れて炊飯ボタンを押してください。炊飯器に入れる前に、吸水させる必要はありません!


\吸水って大事なの?/
お米を研ぐにあたって大切なポイントは・米とぎの目的(糊粉層を落とす)を忘れないで!擦り合わせることが大事だよ◎・米のでんぷんを変化させる酵素が働かないように、必ず冷水で!スピーディーにちゃっちゃか研ぐ。目標3分以内!・研いでいる間に水に触れるタイミングは、3-4回以内に留める・研いだ米はきちんと水切りした後、しっかり吸水させる
でしたね。炊飯器なら吸水タイムも要らない!というのも初耳でした。「良かれと思って吸水タイムを設けていたのに〜」と嘆く参加者さん続出(笑)文明の力って素晴らしい。これからはまるっとお任せしちゃいましょう!!中にはお鍋で炊いている!という方もいらっしゃる思いますので、次はおいしい炊飯のための第3ステップ「吸水」について触れていきます。バタバタと急いで帰ってきてお米を炊きたい時、炊飯器を使っていない人にとっては吸水時間が結構ネックになったりしますよね。どうしても省略したくなってしまうのですが、吸水ってそんなに大事なのでしょうか?吸水することでどんな良いことがあるのか、聞いてみました。


Q.吸水させる時間が取れないこともありますが、やっぱり省略してはダメですか?

A.吸水したかどうかは、ごはんが冷めてから差が出ます。お米の中心部までしっかりと水分が行き届いた状態で炊飯をすると、でんぷんの粘りが強く出て中までふっくら炊き上がります。逆に、吸水をせずに炊いたお米は、米の表面がやわらかく炊けていても、中心部がやや硬く歯ごたえと弾力が残ります。炊き上がりはどちらも食べられる状態で、さほど差がないように思えますが、冷めて時間が経ってから食べるとなると、吸水が不十分なごはんはパサパサになりやすいので、やはりきちんと吸水してあげることが大事です!
先ほど説明した通り、炊飯器は吸水時間も機能の中に組み込まれているので、セットして炊飯ボタンを押すだけです。日に日に技術が進化しているので、炊きわけ機能をうまく使うだけで、水加減を自身で調整する必要もありません。炊飯器に逆らわず説明書どおりに使えば美味しく炊けるので頼れる存在です。でんぷんを変化させる酵素がしっかりと働くので、冷たい水で炊くのを忘れずに!あらかじめ、自分で吸水させたものを炊飯器で炊く場合は早炊きモードを使いましょう。あらかじめ自分で吸水させておくか、吸水は炊飯器に任せるかでかかる時間は同じ。吸水させずに早炊きで炊いてしまうと、炊きあがりは良いが時間が経過するととても硬くなってしまう。すぐ食べる分には良いが、お弁当やおむすびには向かないご飯が炊き上がります。早炊きモードは、吸水時間をカットしているだけで、決して”早く完璧に”炊いてくれるという機能ではないのです。ここは勘違いしやすいので抑えておきましょう!夜仕掛けて朝炊けるようなタイマー機能を使う場合、夏場は水温の変化が大きいため、冷蔵庫で一晩吸水させて、朝早炊き機能を使って炊くほうがおいしいご飯になりやすいですよ。


Q.では鍋で炊く場合はどのくらい吸水すれば良いですか?

A.鍋炊きの場合、夏場:30分/冬場:1時間を目安に吸水します。でも、おすすめは、冷蔵庫での吸水です。研いだ米をタッパーに移して、炊飯に必要な水(1合につきおよそ200ml)を注ぎ2時間ぐらい。冷蔵庫の中は温度が安定していて、ゆっくりゆっくり時間をかけて水を吸わせてあげることで芯からふっくらと甘いご飯が炊きあがります。低い温度だとしっかり吸水してくれるし、酵素が変化しづらい。(米とぎの時の理由と同じ。)

しっかりと吸水できたかどうかは、お米を手のひらの上で潰して確認します。しっかりと吸水できているお米は、爪を立てると簡単に割れます。見た目は、全体的に真っ白になります。何分吸水したかわからなくなってしまったときは、米を割って確認すればOK!


\いざ炊飯!/
じっくりたっぷり吸水させてあげることで、炊き上がりの食感も違えば、保存した時の状態にも影響が出てくることがわかりましたね。冷凍保存したお米を翌日以降に食べることも多くどうしても炊きたてとは違っちゃうな〜と思っていたのですが、吸水不足が原因だったのですね・・・(反省)今日からしっかり浸水します!!合言葉は、お米ファースト!!さて、しっかり水を吸ったお米さんたちは、炊かれる準備万端です!いよいよ、おいしいご飯が炊けるまでの最終ステージ「炊く」です。炊飯器の中のごはんは、高性能な技術にお任せするとして、ここではお鍋の場合の炊き方について教わっていきましょう。


Q.お鍋を使って炊飯するときのポイントを教えてください。

A.まず、炊飯の原理を知りましょう。炊飯前の硬い状態のお米は、水と熱で温度変化を加えることで、徐々に柔らかいでんぷんに変化していきます。最初から温度を上げてしまうと、表面だけがご飯になりはじめてしまい、中まで熱が通らずに芯が残ってしまう。そのため、最初はゆっくり温度を上げていくことが大事!10分ぐらいで沸騰する火加減で加熱していきます。沸騰までの時間が10分より短いと芯が残るし、10分より長いとベチャッとした炊き上がりになってしまいます。全体の時間の目安としては「沸騰までに10分、蒸し煮の15分、蒸らしの10分」と覚えておきましょう。この時間を頭の中に入れておけば何の鍋を使おうとご飯は炊けます。ポイントは、沸騰に近い温度(100度)をキープしつつ、20分ぐらい加熱すること!冷たいところからゆっくり温度を上げてあげていくことで、中の酵素が働く時間が増え甘みが増していきます。火にかける前に氷を入れて炊く場合もあります。その際、氷の割合には気をつけないと水分の配合が変わってしまうので、できれば炊飯用の冷たい水を用意しておくのがベストです。


▽鍋の種類による違い▽
鍋により沸騰するまで時間がかかるものもある。
・アルミ→中火で10分
・鉄→中・強火で10分
・土鍋→強火で12-14分


Q.鍋の蓋は、どのくらいで開けて良いのか、なかなか感覚がつかめません。判断基準はありますか?

A.火にかけた後、沸騰するまでは蓋を開けていても大丈夫。粘りのある泡が出始めたら蓋をすること。(お鍋によって説明書きが違うこともあります。)蓋を閉めるタイミングよりも大事なのは、開けるタイミング!「赤子が泣いても蓋とるな。」というほど、蒸し煮の15分はごはんの甘みが引き出すための、炊飯の肝になります。鍋の中ではお米が水を吸い、さらに水が蒸発して水が減り、蒸し焼き状態になっている段階です。(金属鍋は特に)水が減ってくると音がぶくぶく→チリチリ(弾ける音)と変化してきます。「チリチリ」が聞こえてきたら、水がうまく飛んでいる状態なので火を止めるタイミング。火をとめる直前に一回強火にしてあげることで、火をとめた時に鍋の中で高温状態をキープすることができます。

△耳をすましてチリチリの音を覚えているところ


Q.火を止めたら、すぐに食べてはいけないのでしょうか?

A.ここからが大切な、蒸らしの10分です。ご飯は、蒸らすことで粘りが出てきます。火を止めた状態で、さらに高温状態を保つことで、お米の表面が水蒸気で崩れ、その影響で米のねばりがでてくるのです。好みですが、蒸らしの目安は10分。硬めが好みであれば短く、ねばりが欲しい場合はもっと長くでもよい。長くやりすぎると水蒸気がお水に戻ってしまい、べちゃっとしやすいので、頃合いをみて鍋の中を確認するように。蒸らし終えたらたらすぐにほぐします。炊飯器は蒸らしまでプログラミングされているので、音がなったらすぐにほぐしてください。蒸らしが終わったらすぐお米をひっくり返して、全体が均一になるように余計な水分を飛ばしてあげるのが、仕上げの大事なポイント。


Q.その他、炊くときの注意点はありますか?

 A.炊飯器炊きでも、鍋炊きでも同様に、鍋一杯の分量で炊かないようにしましょう。鍋の8割ぐらいまでがベストな量です。適正量を超えると、お米がつぶれたり、べっちゃっとした炊き上がりになってしまいます。

△炊き上がったらすぐにほぐします。

△試食タイム。炊飯器・羽釜それぞれの炊き上がりを見比べています。

炊飯器炊きと羽釜炊き。炊き上がりの見た目にあまり差はありませんが、羽釜の方がややふっくらした食感。炊飯器は少ししっかりした食感でしたが、同じように中までしっかり火が入ってもちっとしていました。自分で炊飯器で炊いた時と比べるともちもちの食感が全く違う!研ぎ方が違うとこうも差が出るのか・・・!!ごはん同盟さんの付け合わせがまた最高に食欲をそそります。(簡単レシピは文末のおまけにて。)

\食べきれない分はどうするの?/
試食も美味しくいただいて大満足!!でも、まだご飯が残ってる!せっかく美味しく炊けたなら、次の日以降も美味しく食べたいですよね。最後は「炊けたご飯の保存方法」も、併せて覚えておきたいところです。いつも冷凍ご飯になるとイマイチ・・と言う方は必見ですよ。


Q.炊き上がったご飯は、食べきれない場合どうやって保存しておくのが良いですか?

A.炊飯後のご飯が嫌う温度は3-10℃!まずはこれを覚えましょう。3-10℃というと、ちょうど冷蔵庫の中ぐらいの温度です。つまり、冷蔵庫に入れてごはんが冷えると、「そうだ!俺たちお米だったんだ!」とお米に戻ろうとする現象が起き始めます。冷えたご飯がカピカピになってしまう原因はこれです。せっかく水と熱の力でふっくら炊き上げたのに、硬くなってしまったら残念ですよね。ですから、炊き上がったご飯がこの3-10℃の温度帯を通過する前に、すぐに冷凍保存をしてあげたほうが良いのです。一気に冷凍することで、米の中の水分も逃すことなく保存ができます。急速冷凍機能がある場合はそちらを使ってあげるとなお良し!
冷凍焼けを気にする方も多いですが、ラップかご飯用のタッパーに入れて保存しておけば大丈夫。冷凍してから2週間から1ヶ月以内には食べるようにすると良いと思います。しつこいようですが、大事なのはいかに米の中の水分を保ったまま、3-10℃の温度帯を通る前に急速冷凍するかということ。そこを守ったのに解凍したときに「ん?美味しくない?」と感じるようであれば、それは炊き方で失敗している可能性が高いです。


Q.冷めてもおいしい品種ってあるのでしょうか?

A.もっちりと炊き上がる品種(コシヒカリ・ゆめぴりか・ミルキークイーン・つや姫など)は、冷めてもおいしいです。おいしいお米は冷えたときに違いがわかります。熱いうちは、大抵どこのお米でもおいしいのです。炊きたては温度が高すぎて、甘さがわからないのが正直なところですが、いいお米は体温ぐらいの温度まで下がってきてからすごく甘みがでてきます。そこで品種そのものの特性や、きちんと吸水したかどうかで差がはっきりと分かれます。お弁当など時間が経ってから食べるためのごはんを炊く時は、吸水をしっかりさせることはもちろんのこと、品種をみてお米を選ぶこともポイントになりますね。


Q.おひつがいいとよく聞きますがなかなか手がでません。やはり持っておいたほうが良いのでしょうか。

A.炊き上がったお米は、鍋や炊飯器に放置するのではなく、おひつに移してあげるのがおすすめ◎余計な水分がおひつが吸ってくれるので非常においしい状態で保存することができます。すぐに冷凍するにしても、一度おひつに移す工程を挟んだ方が、余分な水分を飛ばせるのでよりご飯にとっては良い環境になります。(もちろん通さなくても大丈夫!)ただし、おひつの素材は扱いが難しく、すぐにカビてしまうので、まずは安くて手軽なものからおひつ生活をスタートしてみるのが良いかも。慣れてきたら、すこしグレードアップしたものを購入してみてはいかがでしょうか。
その他にも、陶器やセラミックのものもあるので、おひつ生活デビューには手軽で良いかもしれません。電子レンジ対応のおひつも出ているので、冷凍ご飯を入れておひつごと電子レンジに入れて解答する方法も、水分調整ができて良いでしょう。土鍋で炊く方は、おひつは不要です。土鍋の中で水分調整されるので、そのままでよいです。おひつを使わない場合、基本は食べられる量だけ炊いて、残ったものはすぐラップに包んで冷凍で保存し、食べる時に電子レンジで解凍するようにしましょう。


\番外編/
その他、参加者の皆さんが知りたかった「ごはんにまつわる素朴な疑問」にも快くお答えいただきました。番外編として、皆さんから上がった質問とその答えをまとめましたので、ぜひご覧ください。


Q.どうして新米は、いつも通りに炊くと柔らかめに仕上がるの?

A.お米の水分量は14-16%程度で、新米と古米での水分量はほぼ変わりません。新米が柔らかめに炊き上がるのは、米の中の水分量の問題ではなく、組織の違いが理由になります。新米はとれたてなので米の中の組織がまだ固まっておらず、短い加熱でもやわらかなくなるのに対し、古米の場合は組織が安定しているため、炊き上がりの状態に差が出ます。新米は一度いつも通りに炊いて、やわらかすぎると感じたら水を調節してみたり、炊飯器の場合はかためで炊いてみたりしてください。1回食べてみないと調整方法がわからないので、基本はいつも通りまずは炊いてみることが大事です。


Q.古米はどうやって食べるのが良いでしょうか。

A.古米となってしまったお米は、お寿司やカレー、炊き込みご飯、チャーハンなどに適して居ます。お米が水分を吸いやすく、味が染み込むのに向いています。新米はそのままで楽しみ、古米は研ぎ方や食べ方を工夫することで美味しく頂くことができますよ。新米が良く、古米が悪いというわけではなく、特徴をわかったうえで調理して食べるとよいでしょう。インドでは2-3年越しの古米の方が価値があると言われており、国によって日本と感覚が違うのもおもしろいですね。日本人はなんでも新しいもの好きなんです(笑)


Q.おいしい酢飯をつくりたいのですが、何かコツはありますか?

A.酢飯の場合、ごはんが高温であることがすごく大事なので、炊きたてを必ず使うことが大事!高温がよいので、炊き上がる前に蓋をあけてもよいぐらい。冷めてしまうと味が入りません。酢飯を炊く時に水を減らす場合もあるが、減らすと芯が残ってしまう場合があるので、減らさなくてもよいです。普通に炊いて、寿司酢をまわしかけて置いておくと、自然に水分や酢が蒸発してくれるので、食べる頃には美味しく食べることができます。ボウルや飯台にいれ、寿司酢をまわしかけた後、扇ぎながら混ぜる方法がよく知られていますが、「扇ぐ」と「混ぜる」を同時に行う必要はありません。しっかり寿司酢を混ぜてから、冷ましてあげることが大事です。
ごはんは、おむずびでもチャーハンでもなんでも、触れば触るほど粘りがでてしまいます。寿司酢に入れるお砂糖は結構重要な役割を果たしていて、保潤効果・保水効果があるため、お砂糖を入れないとぴったり4時間後に硬くなってしまいます。すぐに食べ切らず、翌日以降に持ち越したり、数時間後に食べる場合には必ずお砂糖をいれるようにしましょう。ご飯は科学であります!寿司酢を混ぜ切ったら、濡れ布巾(濡れたてぬぐいが一番がよい。毛羽立たない。キッチンペーパー等だと、お米が乾いてきてくっついてしまう。)をかけて、人肌ぐらいの温度にしてあげます。それ以下に温度を下げない方がよい。人肌にすると手にくっつかず扱いやすいです。高温のままだと痛んでしまうので注意して!


Q.玄米を美味しく炊く方法を教えてください!

A.玄米の方が味や香ばしさがあって好き!という人もいらっしゃいますよね。玄米は栄養素が豊富ですが、鉄分を排出する作用もあるので、白米ときどき玄米の方がよいと思っています。体に合わない人もいるので、玄米を食べてお腹を壊してしまう人は、無理して食べない方がよいですよ。玄米の炊き方は白米と異なり、研ぐ時は力をいれて研いでも大丈夫!逆に、傷をつけて水が入りやすいようにしたほうが良いです。玄米ももっちり派と、はじけるような粒感派と好みが分かれるので、どの炊き方が正解かは言い難いのですが、玄米は炊飯器で炊くのが一番楽です。鍋で炊くと半日かかるものも、炊飯器では90分ぐらいで炊けます。炊きやすさの観点から見ると、玄米より雑穀の方が日常に取り入れやすいと思います。味にも影響が出にくいし、必要なビタミンも得られます。雑穀を入れたい時は、炊く前に加えるだけなので、その日によって雑穀入りにするか、白米だけにするか選べるのも嬉しいポイントです。


Q.無洗米っておいしいのでしょうか?

A.洗わなくても使える無洗米は、美味しさが変わってしまうのか?という質問をよく受けますが、白米と変わらずおいしいです。通常のお米と何が違うかというと、米研ぎの説明部分でも前述の通り、通常のお米は表面に糊粉層が残っているのに対し、無洗米は糊粉層をぎりぎりまでとってある(つまり研ぐ必要がない)という点です。中身(でんぷん層)自体は通常の白米一緒。糠層の取り方も、薬品を使って落とすというようなことはしていないので、味に問題はありません。諸説ありますが、無洗米のほうが表面の糠層がないため、劣化しにくいとも言われています。普段食べる分にはなにも問題はなく、小売店によっては、無洗米の販売コーナーの方が多くなっているところもあります。ごはんを美味しく炊けない要素に、「研ぎ方がうまくいっていない」というのもありますが、無洗米はそもそも研がなくて良いので研ぎ方の上手い下手などの差がなくなるので失敗がないため安全。また栄養素が流れ出ることもありません。まだ品種少ないことがデメリットですが、世間的にも増加の傾向にあります。無洗米は味が劣るものと思われている方も多いようですが、メリットも多く、自信をもって使っていいものですよ!


●おまけ
ご飯の試食タイムにごはん同盟さんが用意してくださった、付け合わせおかずのレシピをご紹介します。

【鮭の焼き漬け】
1、醤油:みりん:砂糖:酒=2:1:1:1の分量で混ぜ合わせ、電子レンジであたためます。(砂糖がざらめだとなお良い)2、グリルで焼いた鮭を1のタレに漬け込み、味がしみたら完成!お弁当のおかずにも◎
金属鍋は他のものに比べて、粒立ちがよい。

【きゅうりの三五八(さごはち)漬け】
南東北寄りの地域でつくられる漬物です。1、塩:麹:米=3:5:8の割合で混ぜ合わせて、漬け床をつくる。2、きゅうりやかかぶを好きな大きさに切って、1に入れておく。1-2時間でしっかり漬かる。


 \まとめ/
お米を美味しく炊いて頂くための5ステップ「米の保存・研ぎ方・吸水・炊く・炊飯後の保存」のポイントは抑えられましたでしょうか?長くやり続けてきた方法が身体に染み付いているので、ついうっかり癖が出てしまうかもしれませんが、「なぜそうすることが”お米ファースト”なのか」を思い出してみると、自然と新しい方法が身についてくるように思います!毎日のことだから、自分のためにも、一緒に食べる誰かのためにも、そして丹精込めてお米を生産してくださっている農家さんのためにも、ベストな状態でお米を炊けるようになりたいと思いました^^(と言いつつ、毎日きちんとやる自信がないので、教わった方法に忠実に週に何度かしっかり炊いて、瞬間冷凍保存しようと企んでいるスタッフKなのでした。)ごはんにまつわる様々な疑問にお答えいただいた、ごはん同盟さん。この度は本当にありがとうございました!お米ファーストで、おいしいお米ライフを楽しみます!!


●講師プロフィール
ごはん同盟試作係のしらいのりこ(調理担当)と試食係のシライジュンイチ(企画担当)による炊飯系フードユニット。日夜、ご飯をおいしくいただく方法を生み出し、その成果を多くのご飯好きのみなさんと共有するための活動を行っています。雑誌を中心にレシピを発表するほか、炊飯ワークショップや料理教室なども精力的に開催。著書『パラパラじゃなくていい! 最高のチャーハン50』(家の光協会刊)が発売中。▷www.gohandoumei.com

イベントレポートの他の記事